菊芋(キクイモ)はキク科ヒマワリ属の多年草。9月~10月には直径6cm程度の鮮やかな黄色の花が咲き、塊茎が育ち始めます。地下茎の終わりや根茎の途中に塊茎(3センチ~10センチ)が作られ、この部分が食用となります。
菊芋の原産は北米/南米とされ、米国ではアーティチョーク(Jerusalem Artichoke)と呼ばれています。育てやすいため第二次世界大戦時の食糧難の際に多くの国で食べられるようになりました。
菊芋(キクイモ)の塊茎は生姜に似ています。生姜と違い水分が70%近く含み、イヌリンを多く含みます。このため通称「天然のインスリン」とも呼ばれ、今日では生活習慣病対策の食品としても注目されています。
また、カリウムを含むため、体内の余分な塩分を排出してくれます。
イヌリンとは?
ファイトケミカル
イヌリンは、植物により作られる天然のオリゴ糖。菊芋、ニンニク、ニラなどの植物の根や地下茎に蓄えられる多糖類の一種です。
菊芋の主成分であるイヌリンはファイトケミカルの1つとされています。ファイトケミカルとは、植物だけが持つ成分で、主に免疫力の強化や抗炎症作用、傷ついた細胞の分裂を妨げたり、ホルモンバランスを整えたりします。
また、活性酸素を除去する働きがあるので、天然の抗がん剤でもあるのです。
インスリンの機能を助ける
インスリンは膵臓から分泌され、血糖値を下げる唯一のホルモンです。しかし、慢性的に高血糖状態になると、膵臓からインスリンが分泌され難くなります。
ここでイヌリンを摂取すると、イヌリンは体内でオリゴ糖に変化しビフィズス菌などのエサになります。それによりビフィズス菌が増え、結果として、インスリンの分泌が活性化されると言われています。
菊芋に含まれてるイヌリンの働き
血糖値の上昇を抑制
イヌリンは水を含むとゲル化して膨らみ、一緒に摂取した糖分を包み込み、腸を通過する際に余分な糖分の吸収速度を緩やかにすることで血糖値の急激な上昇を防ぎます。インシュリンに急激な負荷がからず、糖尿病予防が期待できます。菊芋を使った実験では、約7か月の利用で血糖値が平均38.5mg/dl減少したという報告もでています。
イヌリンは腸内でオリゴ糖に変わり、ビフィズス菌の餌となり、結果としてビフィズス菌を増やすことでインスリンを活性化する効果もあるので、ダブルの効果が期待できます。
ダイエット
イヌリンは水溶性の食物繊維。また、イヌリンはプレバイオティクスの一つであり、ビフィズス菌などの腸内にいる有益な菌を増殖させ、腸内細菌のバランスを改善するとされています。そのため、腸内で有害物質を吸着し、体外への排出を促すことで便秘の解消やデトックスにつながる可能性があります。
整腸作用
イヌリンは体内では消化されずに、大腸まで届きます。イヌリンは腸内でフラクトオリゴ糖に変化し、ビフィズス菌や善玉菌のサポートにより腸内環境を整えてくれます。
シミ・くすみ・老化防止
菊芋にはセレンという成分が含まれており、シミ・くすみ・老化防止などの効果が期待できる抗酸化作用があるといわれています。
菊芋の調理あれこれ
独特な苦みがあるので、調理などで工夫しておいしく楽しんでください。
菊芋は70%が水分。土から掘り出すと、数日でしわしわに乾燥してしまいます。保存はビニル袋に入れて冷蔵庫で。
和え物
菊芋と茹でたジャガイモの皮をむき、スライスもしくは千切りにしマヨネ-ズで和えるとおいしく食べれます。
菊芋のシャキシャキした感触がとても良いです。
油で揚げて
ポテトチップ、スライスなどじゃがいもと同じ要領で揚げておいしくいただけます。
お茶
菊芋をスライスし、2週間程度乾燥させます。急須に適量いれ、熱湯を注ぎ60秒程度で菊芋のお茶を楽しめます。
その他
菊芋の繁殖力はとても強いので、畑に直植えするのは極力避けましょう。市民農園などで前に借りていた方が菊芋を育てていた場合、菊芋が出てきて、占拠されてしまうことも・・・。
育てるなら園芸用の土40キロを購入して、袋の中で育てると良いです。収穫の時もブルーシートで養生した上で収穫し、根っこなどは畑に入れないようにするのがコツです。